◎風景と景観と心象風景の位置づけ



「風景」は主観で認識される景色。
Landscape i see.

「景観」は客観で認識される景色。
Landscape we see.

「心象風景」は心の中に映る景色。
Imagined landscape




◎景色-風景と色についての考察-



色について、感銘を受けた文章を引用させていただき、
客観性を織り交ぜて風景と色について綴りたいと思います。


「けしきとは景色

 気色のことで自然界の景と気と色とをうまくとりいれることだという」

 染織家 志村ふくみ 著書「白のままでは生きられない」2010年2月11日発行より


志村ふくみさんの色への姿勢や感じ方、捉え方、はとても心に響き、染織と絵は媒体
こそ違いますが、近くに感じます。
草木染めによって、命の持つ色を導き出す、その深さに憧れます。
絵具の色でも、実感としても通じるところがあり、たくさん、引用したい言葉がある
のですが、景色について書かれている一文を選びました。

この「景と気と色」という言葉は「心象風景」にとても近いように感じます。





「色は速度」


「風景における「色」については一日の単位でしか存在しないと思っている

 すべては毎日変わり続けてゆく

 まるで動物たちが毎日動き回るように


 そして時間も決して留まることを知らなくて

 歩き回っている

 ひたすらその速度を地球の自転速度に合わせて


 その時「色」は初めて速度を持つことを忘れる

 人はそれを風と呼んでいる」


 写真家 津田直 写真集「近づく」2009年7月発行より

手のひらサイズの写真集で、まるで文庫本を開いて物語が始まるような雰囲気です。
カラーとモノクロの写真がリズムよく展開していきます。
最後の方に詩のような文章が載っていて、その中の1ページです。
この文章を読んで、「色と速度」というテーマについて、はっとさせられました。
制作しているとき、特に即興的に絵を描くときは、意識を集中させて、漂う水の中
を、見えない何かを、素早く掴んだりすくったりするような心持ちと向き合い方で、
画面と呼応しながら絵具と筆に託して描くのですが、その感覚と通じるところがあ
り、鮮明に文章化されていて、まるで風にさらわれたような気分になりました。

色が光の行為ならば、
色は光の速度を内包しているのではないか、
と気付かされました。



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